不動産に関するQ&A
Q. 閑静な住宅地にある中古住宅を購入しましたが、隣人から、平穏な生活に支障を来すような迷惑をかけられ続けたために、居住を断念しました。売主や仲介業者に損害賠償を請求することができるでしょうか。
A. 売主には、購入希望者が契約を締結するか否かを決めるために重要な意味をもつ事項について、契約前に説明をしておかなければならない義務があります。
また仲介業者も、宅建業法35条(重要事項の説明等)に定められているか否かにかかわらず、契約締結の判断に影響を及ぼす可能性のある事項が分かっていれば、その事項を説明しなければなりません。宅建業法47条1号も、業者に対し、重要な事項に関し、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為を禁止しています。
居住用住宅の売買契約締結に際しては、隣人から迷惑行為を受け、そのために平穏な生活に支障を来す可能性が高い場合には、売主と仲介業者のいずれにも説明義務があります。隣人の迷惑行為は、購入後の重大な不利益であり、契約を締結するかどうかの判断に影響を及ぼすからです。
判例は、売主について、「購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される場合には、信義則上、当該事項につき事実に反する説明をすることが許されないことはもちろん、説明をしなかったり、買主を誤信させるような説明をすることは許されない」とし、仲介業者について、「隣人について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来すおそれがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、当該客観的事実について説明する義務を負う」として、売主と仲介業者の両者の説明義務違反を認定し、損害賠償責任を認めました。
よって、売主や仲介業者が隣人の迷惑行為を知っていたのであれば、売主と仲介業者のいずれに対しても、損害賠償請求をすることができます。