物件を借りたい

はじめてお部屋探しをする方は、何から始めればいいのか、何をしなければいけないのかなど、わからない事が多いと思います。
この頁では、はじめてお部屋探しをする方にもわかりやすいよう、「お部屋探しの準備から退去するまで」をまとめています。
お部屋探しの準備から入居まで、入居中の困った事や退去する時の参考にしていただければと思います。

1.部屋の希望条件に優先順位をつける
お部屋探しでは、多くのお部屋を見ているうちにいつの間にか最初の希望からずれてしまうこともあります。
そうならないように「これだけは譲れない」という希望条件を考えてください。
お部屋についての希望条件は人により様々です。
お部屋探しの前に自分や家族の希望条件をリストに書き出して、譲れないものから優先順位をつけてください。
もし、中々希望条件に合うお部屋が見つからない時は順位の低いものから外していく事も必要になります。



2.部屋の情報を見るときの注意点

細かい文字こそ注意して見る必要があります。
インターネットやチラシなどの物件情報には、小さな文字でも大事なことが多く記載されています。
契約時に想定外の費用を請求される事がないよう物件資料や担当者へ確認してください。

入居可能日にも注意してください。
退去予定物件の場合は入居できるのは2ヶ月先ということもありますし、リフォームが完了している物件は管理会社の指定期日までに家賃発生がする物件もあります。
また、契約によっては更新料が発生する物件もあり、その他保証会社への保証委託費用、クリーニング費用、鍵交換代、町会費等がかかる場合があります。管理会社や物件によりかかる項目や費用は異なりますので、事前によく確認する必要があります。

また、犬や猫などのペットを飼育したい方はペット飼育可能な物件を指定して探す必要があります。
賃貸マンションではペット飼育が禁止されている物件の方が多く、そのような物件で勝手にペットを飼育した場合は退去事由に該当する可能性があります。ペット飼育希望の場合は部屋探しの段階で事前に不動産業者へ必ず伝えてください。


3.実際に不動産業者へ行き部屋を見学する
お部屋の見学では、お部屋に着いてからはもちろん、事前の準備も大切になります。
電気製品、家具のサイズや洋服や本など、引っ越し時の荷物の大体の量を確認しておいてください。
見学に行く時に持っていくと便利なものは「筆記具」「メジャー」「メモ帳」「カメラ」「周辺の地図」などです。
スマートフォンの機能やアプリで代用できることも多いですが、メジャーは持っていく方が便利だと思います。
室内は全体的に清潔感があるかどうかを確認し、個別に優先項目を満たしているか確認していきます。

エアコンは全ての部屋に設置できるとは限りませんのでどの部屋に設置できるのかを確認してください。最近建築された物件は全ての部屋に設置できるように設計されている事が多いですが、築年数が経過している物件は共用廊下側の部屋にエアコンを設置できない物件も多いです。
窓から見える眺望についても確認してください。南向きバルコニーでも物件の前に同じような高さの建物が建っている事もあります。

物件では室内だけでなく共用部もよく確認してください。
ゴミ置き場、共用廊下、駐輪場、エントランス、メールボックス周辺の汚れが目立っていたり、ゴミが散乱している物件は管理状態が良くない可能性が高くなります。共用部の状態は見落としがちになりますので意識して確認してください。


4.物件の申込から入居まで
【入居申込】
申込書に必要事項を書いて提出します。
審査の際に本人確認をする必要がありますので、運転免許証や健康保険証などの身分証明書のコピーを提出します。
家賃交渉希望があれば申込の時にすることになります。
審査の際は申込書に記載した家賃を基に保証会社の審査をするため、審査が出てから家賃交渉しても断られるケースが多くなります。

【入居審査】
ほとんどの物件で管理会社(貸主)の審査と保証会社の審査があり、申込書類に記載漏れがない場合は早ければ即日、遅くても3営業日以内には審査がおります
申込人の勤務先、収入、滞納歴、連帯保証人の有無、連帯保証人の状況などを基に審査します。
虚偽の内容が後から発覚すると退去事由になる事もありますので、正確な内容で記載してください。
現在無職である等、審査に不安がある場合は、事前に管理会社へ内容を伝え審査の土台に乗るかを確認するときもあります。

【賃貸契約】
審査が通り入居開始日等を決めれば契約へと進みます。
入居日は申込者の希望を聞いてくれる物件もありますが、管理会社により家賃発生日を指定される事もあります。
契約前に重要事項説明を受けて、契約書への署名捺印と所定の書類を揃える必要があります。
必要書類は住民票、収入証明、顔写真、車検証コピー、連帯保証人の印鑑証明書などがあります。

【入居開始】
通常は、契約開始日が入居日となり、その日もしくは前日までに鍵を受け取ります。
契約開始日前に鍵を受け取った場合でも、原則として先に引っ越しや荷物を搬入することはできません。
契約前に荷物を搬入して紛失した場合の責任の所在などにも関わりますので契約開始日以降に引越しや荷物の搬入をする事になります。


5.重要事項説明と賃貸借契約
【重要事項説明の役割】
重要事項説明は、専門の資格者である宅地建物取引士が大きく分けて2つの大事なことを説明します。
1 物件の条件…所有者が誰か、法律的に問題ないか、どういう設備があるか、管理は誰がしているかなど物件について重要なこと

2 賃貸の条件…賃料、共益費などお金に関わる事や契約期間、更新料、その他特約事項などです。入居中と退去時の修繕区分もよく確認する必要があります。

【契約書のポイント】
契約書には主に入居中や退去(解約)のことが記載されています。
1 入居中…家賃や管理費、敷金等金銭に関わること、入居中の禁止事項や修繕の範囲など
2 退去……いつまでに退去連絡をするか、契約解除される要件、損害賠償など
その他、更新や退去の届出、特約事項についてもよく確認してください。

【火災保険への加入】
入居時に加入することになる火災保険は、「家財保険」と「借家人賠償責任保険」がセットになったものが一般的です。
家財保険:火災や台風などの災害のとき、入居者の財産に受けた損害を補償するための保険が家財保険です。
※補償内容は保険によって異なります。一部オプションとなる場合もあります

借家人賠償責任保険:火災や水もれ事故などを起こしてしまったとき、大家さんや近隣の方へ賠償するための保険が賠償責任保険です。
借家人賠償責任保険に入っていれば金銭的なトラブルは軽減されることになります。


6.入居前と入居後に必要な手続き
【入居前にする手続き】
● 郵便物は転送届を郵便局に

【入居後にする手続き】
● 免許証などの住所変更
● 会社や銀行へ住所変更届を出す

【入居前と入居後にそれぞれする手続き】
● 役所に転出・転入届を出す(原則2週間以内)
● 電気の停止・開始届
● ガスの停止・開栓予約(開栓は立会いが必要)
● 水道の停止・開始届(不要な物件もあります)
● インターネット回線の停止・開始
● 学校の転出・転入届(早めに学校に連絡)


7.入居中の注意事項
【修繕等の連絡】
修繕が必要となった場合には、まず、貸主や管理会社などに連絡し対応について相談するようにします。
時間が経って連絡すると修繕等が必要となった原因が、経年変化や通常使用によるものかどうか判断が難しくなってしまうため、不具合等が生じた時は早めに対応する必要があります。
また、前の居住者が置いていったエアコンなど、契約書に付帯設備として記載されていないものについては貸主負担とならないケースもあります。
賃貸借物件の一部とされている設備かどうか、重要事項説明書や契約書で確認する必要があります。

【入居中のマナーを守り快適に】
退去時の原状回復のトラブルを未然に防ぐためには部屋を汚したり傷つけたりしないよう注意することが必要で、入居者自身のマナーが重要です。
部屋を著しく汚していたとしても、その状況は、退去時まで分からないのが一般的です。
その復旧に要する費用が敷金の額を超えていても、不足分が支払われないこともあります。
また、入居者が突然行方不明になったとしても、契約をすぐに解除できるわけではなく法的な手続が必要な上、置いていったものの処分費用まで貸主が負担することもあります。
最近では、タバコをめぐる問題も見受けられます。入居者同士でお互いに配慮し、マナーを守るよう心掛けてください。

(事例1) 契約書ではペット禁止であるが、こっそり犬や猫を飼っている。
⇒ 明らかな契約違反ですから、契約の解除、退去を求められるケースもあります。
退去する際には借主の責任が問われます。
動物特有のにおいの除去や消毒等が必要となる場合もあり、原状回復費用が多額に請求されることにもなりかねません。
ペットを飼育される予定がある方は、必ずペット飼育可能な物件を探すようにしてください。

(事例2) 壁の色が気に入らないため、勝手にペンキで好きな色に塗り替えた。
⇒ 貸主の承諾を得ずに、部屋の造作や設備を変えたケースですが、貸主に連絡もせずに壁を塗り替えてしまった場合、退去の際には原状回復費用を請求されることになります。部屋の改造や設備の入れ替えを希望するときは、必ず事前に貸主に連絡をして承諾を得て、原状回復についても確認してから行うようにしてください。

(事例3) 掃除をせず汚れを放置しており、換気不足が原因でカビが発生している。
⇒ 汚れの放置は思わぬトラブルの原因となることがあります。
入居中にどのような使い方をしていたか、掃除や手入れの程度によっては善管注意義務違反に問われ、原状回復費用が多額になることもあります。

(事例4) 家賃を滞納しているが、敷金で差し引きしてもらいたい。
⇒ 家賃の滞納は契約違反となり、一般的には3ヶ月前後滞納をすると退去について協議する事になります。
敷金は、家賃の未払いやその他賃貸借契約上の損害賠償など一切の債務を担保するために貸主に預けるものですが、借主からの要求で滞納家賃を相殺する事はできません。

(事例5)夜中に大音量で音楽をかけたり洗濯機を使う。
⇒ 音の問題は深刻な近隣トラブルを招きかねません。ステレオや洗濯機など音の出るものは、常識的な時間帯に使用するようにします。
人によって、生活時間帯は異なりますので、音量に注意するなど迷惑にならないように心がけてください。


8.更新手続きについて
部屋の契約更新が近づくと管理会社から案内が届きます。
自動更新契約で更新料がない物件の場合は、案内がないことが多いです。
更新についてわからないときは契約書を確認し、不明な場合は管理会社に連絡して聞くことになります。
更新料の他に、火災保険や保証料などがかかる場合もあります。

更新時に家賃が高くなったときは?
普通賃貸借契約では、一方的な通知だけで家賃を値上げすることはできません。
値上げ金額に納得できない場合や近隣相場に比べて高い家賃を提示された場合は泣き寝入りせず担当者へ交渉してみてください。
逆に近隣相場や同物件の入居者に比べて高い家賃を支払っている場合は値下げ交渉に応じてもらえる事もあります。


9.退去手続について
【退去の連絡】
退去する日が決まったら、管理会社へ電話で連絡して今後の手続方法を確認します。
基本的には解約通知書を1ヶ月以上前に書面で送付する事になりますが、最近は指定のサイトに入力して解約手続をする物件も増えてきています。
書面で送付する場合は到着日を基準にしている事が多いため、退去する日の前月末日までに管理会社へ到着するよう送付します。

【退去立ち合いと鍵の返却】
原則として退去時には入居者と管理会社の担当が立ち合ってお部屋の状況確認をします。
状況確認をする際は、室内には何もない状態で確認することになりますので、退去立合い日までに引越しをして室内に荷物がない状態にする必要があります。
引越日当日の立ち合いは、立会時間までに荷物の搬出が間に合わないことがありますので、余裕を持ったスケジュール調整をしてください。
退去立合い日の当日に鍵を管理会社に返却して、部屋を明け渡します。

【退去精算】
立ち合い日当日に管理会社の担当が精算書を作成し、借主が負担割合を確認して署名押印をします。
契約書に記載があればその内容で、記載がない場合はガイドラインに沿って査定する事になります。
基本的には入居者の故意・過失は借主負担、経年劣化による損耗は貸主負担になりますので精算書をよく確認してください。
敷金契約の場合は敷金から修繕費を相殺し、後日指定口座へ返金されます。
借主負担額が敷金を超過している場合は、超過分を指定期日までに振込をします。

【原状回復をめぐるトラブルとガイドライン】
退去時の原状回復についてトラブルが多いため、国土交通省が平成 10 年 3 月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しました。
ポイントは、経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、大家さんの負担としたことです。ただし、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧する場合には賃借人の負担となります。


以上、一般的な賃貸借契約についての流れを記載しましたが、物件により手続きや内容は異なることがあります。
部屋探しや契約される際に不安な事や不明点がありましたら当店まで何なりとお問い合わせください。