不動産に関するQ&A
Q. 隣地所有者が建物を建築中ですが、境界線から約80cmの位置に、私の住居の敷地を見通せるベランダをつくろうとしています。目隠しの設置を求めることができるでしょうか。
A. 売隣地所有者に対し、目隠しの設置を要求することができると考えます。
建物は、境界線から50cm以上離れた位置に建築しなければならず (民法234条1項) 、この離隔距離を確保できない位置に建物を建築することはできません。
しかし境界線から50cm以上の離隔距離を保持したとしても、境界線の近くに窓や縁側、ベランダが設けられると、他人から眺められるような不快な感覚を抱かざるを得ません。
そこで法律上、隣地の居住者のプライバシーに配慮し、境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓や縁側、ベランダを設ける者は、目隠しを付けなければならないこととされています(民法235条1項) 。
相談者の隣地において建築中の建物についても、敷地境界線から約80cmの位置に、宅地を見通せるようにベランダがつくられようとしていますから、隣地所有者には、目隠しの設置の義務があります。
建物所有者とマンションを建設しようとする隣地所有者との間で目隠し設置に関する合意があったにもかかわらず、隣地所有者が目隠しを設置せずにマンションを完成させてしまったために係争となり、裁判所が、隣地所有者に対し、目隠しの設置と慰謝料支払を命じた判例もあります 。
近隣に居住する者同士は、利益が相反することも少なくありません、互いに相手の立場も慮りながら生活することが必要であり、目隠しの設置は、相手の立場への配慮のひとつということができます。