不動産に関するQ&A
Q. 所有するマンションの専有部分を賃貸しているのですが、このマンションの管理規約は賃借人にも守らせたいと思います。管理規約の建物利用についての制約は専有部分の賃借人にも効力があるのでしょうか。
A. マンションのような集合住宅は、多数の住人が共同して一棟の建物の中に設けられた各々の「専有部分」で生活しています。同時に、廊下や階段等のいわゆる「共用部分」についてはマンションに居住する皆が使用するのですから、当然ながら、マンションの管理規約は、そのマンションで生活する者全員が守る必要があります。
こうしたマンション等の集合住宅に関する法律関係については、「建物の区分所有等に関する法律」(以下、「区分所有法」と略称)によって定められています。
区分所有法は、「A:規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継 人に対しても、その効力を生ずる。 B:占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」(区分所有法46条)と定めています。
この区分所有法46条Bの「占有者」とは、区分所有建物の専有部分の「占有者」のことです。賃借人は、専有部分を使用収益しているのですから、「占有者」に該当します。
したがって、マンションの専有部分の区分所有者が部屋を賃貸した場合、賃借人は、区分所有法にいう「占有者」に該当しますから、区分所有法46条Bに基づいて、建物とその敷地、附属施設の使用方法については、区分所有者と同じ義務を負うわけです。
したがって、賃借人は、自分は区分所有者ではないのだから、規約に拘束されるいわれはないとは主張できないのです。
上記のとおり、賃借人は、建物や敷地等の「使用方法」に関する限り、管理規約や集会の決議に拘束されることになりますので、反面において、賃借人は、集会において、「会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。」(区分所有法44条1項)と定められています。
ただし、この「利害関係」とは、あくまで法律上の利害関係の意味ですから、会議の目的が「使用方法」に関するときは、賃借人は会議に出席して意見を述べることができますが、管理費の増額とか、共用部分の修繕決議や建替え決議等のような場合には、賃借人には法律上の利害関係は認められません。